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くま川鉄道で25年ぶりの新車となるKT-500形が3/8より営業運転を開始
したので、3/9の13D〜14Dで試乗してきました。
「田園シンフォニー」と名付けられたKT-500形の内外装は水戸岡鋭治氏
によってデザインされており、車両ごとに異なっています。今回乗車でき
たのは焦茶色のKT-501とクリーム色のKT-503で、この日は赤色のKT-502形に
乗車することはできませんでした。
KT-500形は先輩のKT-100,200形と同じく新潟トランシス製で、NDCの第3
世代に該当します。車両の湯前方が前位で人吉温泉方が後位となり、トイレ
は前位側、駆動機関・動台車が後位側となります。
#以下の画像は 2014/3/9 くま川鉄道 13D〜14D 湯前駅停車中に撮影
#(運賃表の画像のみ、14Dの東多良木で撮影)
・KT-501
↑左:湯前寄りのカウンター席(左側は車内販売用スペース)
右:人吉寄りのソファー席(手前はボックス席)
当日は おかどめ幸福駅に自家用車を置いて湯前を往復しましたが、
営業開始2日目とあって、地元の家族連れの試乗(パパと子どもたちが
乗車してママが車を回送、あるいはその逆)が目立ちました。その一方
で同業者の姿は少なめ。似たようなデザインの車両が増えたことも影響
しているのでしょうか。
・KT-503
↑左:人吉寄りのソファー席(中央のボックス席との間に飾り棚を設置)
右:中央のボックス席
車内の雰囲気は「おれんじ食堂」のHSOR-114,116とよく似ています。
ボックス席は座布団が薄くて座り心地が今一つ。木製の背もたれが華奢
で仰け反ると割れてしまいそうなため、前傾姿勢になりがちですが、
頑丈なテーブルが肘をつくのに重宝します。一方、ソファー席は硬めの
しっかりとした座り心地ですが、背もたれが垂直に近いため前傾姿勢に
なりがちで、こちらもテーブルが重宝します。13Dの末端区間で地元の
おじさんから女子高生まで、みんなテーブルに肘をついており、なんとも
ユーモラスな光景でした。
↑左:湯前寄りに設置された真空吸引式バリアフリートイレ
手洗器の水栓がプッシュ式に、シンクがセラミック製に改良された
右:「おれんじ食堂」で採用された子供用展望席は人吉寄りに設置
↑左:運転席はHSOR-100,150形同様ワンハンドルマスコンを採用
右:運賃箱・整理券発行機は壁面と同色で少々見つけにくい
(2両以上では車掌が乗務するため使用機会は少ないかも…)
KT-500形を観光列車専用にしていたら通学需要を捌ききれないので、
朝夕は通学列車にも充当されます。くま川鉄道沿線の高校生はキハ58/65が
乗り入れていた時代から行儀が良く、先に観光列車化されたKT-203,103
(KUMA-1,2)にも目立った損傷がないため、このような車両を投入すること
ができたのだと思います。ただ、KT-200あたりと比較すると立席スペース
が極端に少ないので、通学時間帯の車内の混雑具合が気になるところです。
↑左:駆動機関はコマツのSA6D125HE系、変速機は変1直2のタイプ
右:吊革は木製
私のKT-500形への最大の関心事は足回り。これについてはインターネット
上でほとんど話題になっていなかったので、個人的には新潟の6H13CREエンジ
ンが採用されているのではないかと期待したのですが、九州ではポピュラーな
コマツのエンジンでした。
KT-500形の足まわりは平成筑豊鉄道400/500形とほぼ共通のようで、JR九州の
キハ40/47形 8000/9000番代との共通点も多いようです。JR九州と同じ部品を
採用した方が得策と判断したのでしょう。九州の気動車では2004年のキハ200-5011、
HSOR-100,150形を最後に新潟機関の採用が途絶えています。
↑左:運賃表示器はキハ220-200などと同じ液晶式
右:天井照明はLED式、夜間の雰囲気が気になるところ
この日の13D〜14Dには車掌さんが2人乗っており、そのうちの1人から乗車券
を買おうとしたら「あとで車掌が来ますので、そちらから買って下さい」と。
不思議に思っていると、その方はワゴンでコーヒーやプリンの販売を始めました。
どうやらこの日は客室乗務員の代役で車掌氏がワゴン販売を行ったようですが、
三セクの普通列車としては驚きの光景です。
↑左:九州南部ではすっかりおなじみとなったドーンデザイン
右:床面の高さを下げたため、貫通路前後にスロープを設置
観光列車では、ここを車内販売のワゴンが通る
今回、KT-500形に試乗して、水戸岡氏の手がけた観光列車のデザイン要素が
凝縮された印象を受けました。この手の列車に慣れた人なら、目新しさを感じ
ないかも知れませんが、観光バスツアーを誘致するには水戸岡氏のネームバリュー
は大きいでしょうし、九州南部の観光列車のデザインの一貫性を持たせた点は
評価できると思います。
ともあれ、毎日乗車する地元の高校生にとって、KT-500形が快適で楽しい
車両であればそれが一番なのかなと思います。部活帰りの高校生が、13Dの車内
でテーブルを広げて弁当を食べていましたが、早速、KT-500形を使いこなして
いるようで嬉しくなりました。
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