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chatで気動車における同一形式重複車番が話題になった際に、キハ
58 5001,5002が挙げられました。
キハ58 5000番代は、1985年3月ダイヤ改正で急行「火の山」に指定
席車を復活させるにあたり、キハ58に廃車発生品のR27リクライニング
シートを装着させたものであり、7両が登場しました。
普通車指定席にグリーン車用の座席を提供するサービスは、四国の
急行列車から始まりましたが、四国がキロ28を格下げ使用していたの
に対し、「火の山」ではキハ58にリクライニングシートを装着する手
法がとられました。これはRJの1986年7月号の「火の山」追跡記事で
言及しているように、勾配のきつい豊肥線で3両編成の急行列車を運
用するに当たり、1エンジンのキハ28 5200を連結する出力的余裕が無
かったものと思われます。なお、同時に指定席車を復活させた「由布」
では5両編成のため、キハ28 5200(四国の追番である5221〜5223)を連
結する措置が取られています。
キハ58 5000の登場は、ボックスシートが当たり前だった急行列車で
は画期的なことであり、指定席券だけでグリーン車並みの快適性が得
られるとして、当時のテレビニュースでも取り上げられたほどでした。
「火の山」のキハ58 5000は好評を博し、固定客を掴んだようです。
退潮傾向だった急行列車の中で「火の山」が特急格上げ道を選んだの
は、キハ58 5000から始まった攻めの姿勢に他ならないと思います。
また、キハ58 5000の成功は、各地の急行列車のアコモ改造に弾み
をつけることにもなりました。JR化後はグレードアップした車両群に
埋没してしまう形になりましたが、キハ58 5000の功績は大きかったと
言えるでしょう。
・「火の山」指定席用(のちに「由布」にも運用)
キハ58 5001,5002,5003,5004,5005,5005,5006,5007
# キハ58 5002,5005,5006,5007は後にSSL化
# キハ58 5007は後に塗り戻し
ところで、九州にはキハ58 5000と同じR27シートに改造されていなが
ら、改番の行われなかったキハ58/28/65が存在します。
・「サウンドエクスプレスひのくに」用
キハ58 700,701、キハ28 2485、キハ65 61
# キハ58 700、キハ65 61は後にHTB化
# キハ58 701、キハ28 2485、キハ65 61は後にSSL化
・「えびの」指定席用
キハ58 613,674,703,705,768,1133、キハ65 16
# キハ58 674は「火の山/由布」に転用、後にSSL化
# キハ58 705は後に塗色のみSSL化
# キハ58 613,703,1133、キハ65 16は後にシーガイア化
# キハ58 768は後に九州色化
# キハ58 705,768ってシーガイア色の経験がありましたっけ?
・「シーサイドライナー」用
キハ58 154,162,186,569,1001,1005、キハ28 3024
# キハ28 3024は後に塗り戻し
# キハ58 569は後にTORO-Q化
整理すると、九州のキハ58のR27装着車は5000番代を含めて22両存
在したことになります。
「えびの」指定席用のR27車はJR化前後に改造されていますが、ど
ういうわけか改番されていません。改造当初は「火の山」用と細かな
差異があったようですが、1988〜89年頃に行われたアコモのリフレッ
シュ工事によって両者の内装が統一されており、同一形態で5000番代
と原番号車が混在することになりました。
さらに、「シーサイドライナー」用は、既存のアコモ改造車の転用
だけでは不足する分を、1992年頃に追加改造していますが、この頃に
なるとRS380リクライニングシート装着車(キハ58 607,755,1006,1105,
1106、キハ65 13,17,18,21,22,23,52,53,54,56,62,75,517,518)やT17
回転クロスシート装着車(キハ65 11,14,20,67,74)が多数存在しており、
もはや改番の意味がなくなってしまったようです。
なお、SSLのR27車には「火の山」「由布」からの転用組(674,5002,
5005,5006,5007)が存在しますが、SSL化の際にアコモ改造が行われてお
り、当初からSSL用として改造された6両と同一形態となっていました。
現在TORO-Qで活躍するキハ58 569は、このグループ最後の貴重な生き
残りということになります。
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